大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)1165 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人中村公男の上告趣意書は、末尾に添えた別紙記載の通りである。

(一)上告論旨第一点は、原審判決が刑の言渡をなすに当り控訴審にける未決拘

留期間を本刑に算入しなかつたのは法令違反であり憲法第三四条の精神に反する、

と主張する。しかし刑法第二一条に「未決勾留ノ日数ハ其全部又ハ一部ヲ本刑に算

入スルコトヲ得」とあつて、算入と否とは裁判所の自由裁量であるように思われる

が、その点の判断に立ち入るまでもなく、本件は被告人から第一審判決に対し上訴

(控訴)を申し立て、第二審判決は第一審判決が有罪と認めた窃盗の点については

無罪を言い渡し、刑も、第一審判決が懲役三年だつたのを、第二審判決は懲役一年

六月に処したものであつて、すなわち被告人の控訴申立はその理由ありと認められ

たのである。ところで旧刑訴法第五五六条第一項によれば、「上訴申立後ノ未決勾

留ノ日数ハ……検事に非ザル者ノ上訴ニシテ其ノ理由アルトキハ勾留日数ノ全部…

…ヲ本刑ニ通算ス」ることになつているのであつて、その場合上訴裁判所は判決に

おいて通算の言渡をなすべきものでないことは、当小法廷の判例の示すところであ

る(昭和二三年(れ)第一七五五号同二四年三月一五日判決、昭和二三年(れ)第

二一一一号同二四年五月三十一日判決)。それゆえ原判決が控訴審における未決勾

留日数を本刑に算入する言渡をしなかつたのは正当で、何等違法はなく、判決の言

渡までもなく本件被告人は論旨主張通りの利益を受けるのであつて、論旨は言わば

的無きに矢を放つたものであり、上告の理由にならない。

(二)論旨第二点は、原判決が本件の詐欺未遂を中止未遂と認めず従つて法律上

の刑の減軽をしなかつたことを非難する。しかし原審は、本件の詐欺が未遂に終つ

たのは相手方が金を渡さなかつたからで被告人が任意に中止したのではない、と認

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定したのであつて、その認定は経験則に反するものでなく、論旨は結局事実認定を

争い量刑不当を主張することに帰し上告の適法は理由にならない。

よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従い、主文の通り判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二四年九月二〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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